SDGs

訪日プロモーション向けのWEB記事に掲載頂きました。

「絶滅の危機に瀕している日本の伝統的な職人さんたちに会いに行く」という取材企画でフランスのライター様が昨年暮れに、「鰹いぶし小屋」を訪れました。
海沿いの道を通り鰹燻し小屋までお越しいただいたのですが、前に広がる太平洋に皆様大感動でした。
ちょうど水平線に太陽が沈む何ともロマンチックな光景がひろがる最高の時間帯でした。
暖簾をくぐり小屋内に入ると、レトロなオレンジの瓦と縁側、積み重ねられた屋号が入りの年季が入ったせいろ・・・。
まるで昭和初期にタイムスリップしたような小屋内に驚いた後、シャッターを何枚も切っていました。

 彼らは、一匹の魚がこのような硬い物質へと変化を遂げそして更に、その物質を「DASHI」という「UMAMI」の凝縮したスープへとアレンジする日本人の高い技術の部分にももちろん感動していました。
しかしそれより興味を持ったのが、この鰹節が作られる焙乾の過程で使用される「薪」でした。
さらに言うと、古くから伊勢志摩に多く自生するこの薪を使ってモノづくりをすることにより、豊かな里山・里海の循環を保つことに繋がっているというこの仕組みに注目したのでした。

 鰹節作りには「焙乾」という鰹を燻す工程があるのですが、天ぱくではこの地域の「ウバメガシ」の間伐材を使ってこの工程を行っています。
ウバメガシは火力が強く火の持ちが良いので、このようなじっくりと鰹を燻す作業には非常に適しているのです。
余談ですが、皆様が大好きな「ウナギ」や「焼き鳥」を焼く際に使う備長炭の原木がこの「ウバメガシ」です。

そしてこの「ウバメガシ」は元々この地域に多く自生しており、昔からこのような「ものづくり」をする際に使われてきました。
また私達の生活の中で欠かせない料理を作ったり、お風呂を沸かす際などにも使われていました。
薪が生活に欠かせない大切なものだったのです。しかし産業革命とともに私たちの生活も便利になり、昔のように薪を使う機会も失われていきました。
それまで均衡を保っていた里山は荒れ放題になり、そこから繋がる海でも異変が起こりました。
それまで獲れていたはずの海の恵みが取れなくなったのでした。豊かな里山からの、豊富な栄養分が海に流れてこなくなったのが原因でした。
先人達はわかっていたんですね・・この自然の仕組みを。

 現代において「小さな鰹燻し小屋」は 一つの大きな大きな循環の一端を担うとまではいきませんが、これからも先人たちが築いてきたこの仕組みを続けていきたいと思います。

(Japanizaition 記事)

Le Katsuobushi fumé au bois, une pratique japonaise en voie d’extinction

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