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自然の循環が生み出すART

かつおの天ぱくでは鰹を燻す際、昔から伊勢志摩に多く自生するウバメガシの間伐材を使用しています。なぜ間伐材を使用するのかと申しますと、話は数十年前にさかのぼります。それまで獲れていたはずの海の恵み(あわびやさざえ)が獲れなくなってきたということを地元の海女さんに聞いたことがその始まりでした。その原因を探っていくと山にいきついたのでした。
山というのは、間伐をすることにより草木が生えやすくなり栄養豊富な山になります。しかし現在では、電化製品の普及によりこの間伐した木を使用することが少なくなりました。そこで私たちはこの薪を使用することによって、山の均衡を保つことに少しでもお手伝いができたらと思い、今でも鰹を燻す際は間伐材を使用しています。

そんな私たちに昨年、素敵なお話が舞い込んできました。奈良県にある陶芸作家の「糸井康博」氏からの素晴らしいお話でした。なんとウバメガシの「灰」が陶芸の灰釉に使用できるというのです。その時私は自然の循環がさらに環り、芸術作品という新たな産物を生み出せる事に驚きました。
 ここで糸井氏の紹介をしていきたいと思いませ。糸井氏は、京都生まれの陶芸家で鎌田幸二氏に指導を受け、陶芸の道にはいります。その後京焼猪飼祐一氏に師事し、現在は奈良県北葛郡王寺町にて工房を構え、作家活動をしています。その作品には樫や松の木、葡萄などの様々な植物の灰を使った温かみのある器も多くあります。全国の展覧会でも数多く賞を受賞されている作家です。

ところで糸井氏に教えて頂いて初めて知ったのですが、同じ植物(ウバメガシ)でも産地によって、焼きあがった色が異なるというのです、おそらく地中から吸い上げた栄養分の違いだと思いますとのことでした。なんとも面白い。ということは、同じ原料でも一つとして同じものはないということを指すのです。
そして更に私が感動したのは、ウバメガシの灰釉から出来上がった器は優しい「BLUE」となるのです。伊勢志摩にぴったりの色なのです。

まさに「伊勢志摩BLUE」ですね・・・。
このようにウバメガシは、鰹を燻し、灰釉となり、何役もをこなして役目を終えるのです。
ここに環境のことを大切に思う人たちの思いが環っていますよね。

 この糸井氏との出会いをきっかけに、あらゆるモノづくりにおいて自分たちの会社では使用せずに捨ててしまうものが、別の人にとっては宝の山になりうる可能性があるのだということを教えて頂きました。
もっともっと沢山の人たちが「環る」大きな大きな輪ができれば、世の中に要らないものなどなくなるのではないかと感じる今日この頃です。

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